耐震コラム
既存住宅売買瑕疵保険だけでは不十分?築20年以上の中古住宅は耐震性に要注意!!
中古住宅の購入時、その建物の内装や外装、設備機器の状態を確認し、これから住む上での支障や問題が無いか、痛んだところが無いかなどくまなくチェックされると思います。
ただ、その時点で発見できるのは、目に見える ”うわべ” だけ。
住宅の中でも、特に重要な構造上の主要部分や雨水漏れ防止部分などに、重大な欠陥があることまでは確認できません。
そこで専門家に依頼し、購入前に「インスペクション(住宅の状態を検査すること=既存住宅状況調査)」を実施したり、「既存住宅売買瑕疵保険(購入後に、瑕疵が発見された場合であっても保険期間内であれば、補修や改善に必要な費用が保険金によってまかなわれます)」に加入し、不測の事態に備えます。
さぁ、これで安心して購入できる。と思いたいところですが・・・
忘れてならないのが、日本は地震国だということ。
そして首都直下地震が、今後30年以内に70%の確率で起きると予測されているということです。
・・・そう、耐震性の問題です。
「インスペクション」は耐震性については対象としていません。
また、「既存住宅瑕疵保険」は「新耐震基準」(昭和56年6月制定)に適合している住宅が対象となります。
昭和56年6月以降に建築確認を取得し建築された住宅であれば、保険加入の対象となるのですが、この昭和56年6月に制定された「新耐震基準」は新とはいえ古い基準で、この基準で建築された住宅は、当然ながら平成12年に制定された現行の耐震基準(新・新耐震基準、2000年基準と呼ばれている基準)を満たしていないものがほとんどです。
住宅の築年数から、耐震評価数値である「評点」を下記の表より確認してみて下さい。
「評点」=1.0が ”一応倒壊しない” レベルとなりますが、2000年(平成12年)以前の住宅は”倒壊する可能性がある”となってしまいます。
あくまで可能性ですから、倒壊しない場合もあるでしょう。
あるいは、倒壊してしまうかもしれません。
それは大地震が起きてみなければわかりません。
平成12年以前に建てられた住宅は、「新耐震基準」を満たしたとはいえ、耐震性が不十分なのです。
あの阪神淡路大震災、後の熊本地震でも「新耐震基準」で建てた住宅のおよそ一割が倒壊・崩壊してしまいました。
「旧耐震基準」(昭和56年6月以前の基準)の住宅や確認申請を取得していない、あるいは確認申請通りでない既存不適格な住宅、増改築を繰り返した住宅などはなおさらです。
購入を検討されている中古住宅が「耐震改修工事済」となっていれば問題はありませんが、耐震補強されていない住宅は ”倒壊してしまう可能性がある” という、大きな不安がついてきます。
最悪の場合不安だけでは済みません、命に関わる重大事です。決して大袈裟なことではありません。
ご家族との幸せな暮らしを夢見て購入した住宅が大地震の危険にさらされてしまうのです。
転ばぬ先に杖・・・起こってからでは遅いのです。
中古住宅を購入される際はぜひ「耐震診断」を受け、その建物の耐震性を確認していただくことをお勧めいたします。
キッチンや浴室の交換や壁紙の貼り替えなど、確かに快適に、きれいにして暮らしたいものです。
ですが、その快適さも、満足感も安心な暮らしがあってこそだと思います。
優先されるべきは、住宅本来の耐久性・耐震性であり、そこから得られる安心感ではないでしょうか。
「耐震診断」は建物の耐震性だけではなく、構造上の主要部分の欠陥や、雨漏りの有無、白アリ被害の有無など、「インスペクション」の調査と同じ内容も確認できますので、購入前に「耐震診断」が可能であれば瑕疵となるはずだった欠陥や不良も、事前に売主さんに補修や改善してもらうことも可能だったりします。
住宅は決して安い買い物ではありません。
念には念を入れて、安心して快適に暮らせる住宅を手に入れてください。
耐震性を高め、安心して快適に暮らせる住宅にするためには「耐震補強」が必要です。
耐震補強は耐震診断から始まります。