耐震コラム

木造住宅の耐震補強に欠かせない筋交いとは?

築年数が経った木造住宅に住んでいる方は、地震対策は万端でしょうか。
家族の安全を守るため、安心して暮らせる住まいを実現したいと考えている方も多いのではないでしょうか。
地震対策には様々な方法がありますが、今回は木造住宅の耐震補強における「筋交い」について詳しく解説していきます。
西東京市・小平市・東久留米市周辺で木造住宅にお住まいの方はぜひご覧ください。

□木造住宅の耐震補強での筋交いの役割とは?

木造住宅の耐震補強において、筋交いは重要な役割を果たす部材です。
筋交いは、柱と柱の間に斜めに設置することで、地震や強風による横揺れに対して抵抗力を高める効果があります。
まるで建物を支える「筋」のような役割を担っていることから、この名前が付けられました。

1: 筋交いの種類と役割

筋交いは、大きく分けて「片筋交い」と「たすき掛け」の2種類があります。

片筋交いは柱と柱の間に斜めに1本だけ筋交いを設置する方法です。
たすき掛けは柱と柱の間に「×」のように2本の筋交いを設置する方法です。
たすき掛けは片筋交いに比べて強度が高く、壁倍率も2倍になります。

2: 建築基準法との関係性

建築基準法では、新築時には筋交いなどが入った耐力壁を使うことが定められています。
具体的には、建築基準法施行令第45条で、筋交いの素材、幅、厚さ、取り付け方法などが細かく指定されています。
また、筋交い金物も重要で、建築基準法施行令第45条では、筋交いの端部をボルト、かすがい、くぎなどの金物でしっかりと固定することが定められています。

3: 筋交いの強度は金物で高める

筋交いの強度は、取り付ける際に用いる「筋交いプレート」などの金物で高めることができます。
古い木造住宅では、筋交いの接合部に「くぎ」や「かすがい」が使われている場合がありますが、固定力が弱いため、地震時に引き抜けてしまう事例が多く報告されています。
そのため、耐震補強工事を行う際には、筋交い金物も一緒に交換することをおすすめします。

□耐震補強工事の注意点!筋交いに関する3つのポイント

耐震補強工事では、筋交いの量と耐震等級の関係、断熱材との相性、古い住宅における施工方法の注意点など、考慮すべき点がいくつかあります。
これらのポイントを踏まえることで、より効果的な耐震補強を実現できます。

1: 筋交いの量と耐震等級は正比例しない

建物の耐震性は「耐震等級」で示され、1~3までの3段階に分けられています。
耐震等級が高いほど地震に強い建物となりますが、筋交いの量を増やすと必ず耐震等級が上がるわけではありません。
耐震等級を上げるためには、筋交いの量だけでなく、壁の配置や構造、建物の全体的なバランスなども考慮する必要があります。

2: 筋交いと断熱材の相性に要注意

筋交いをつけた壁には断熱材を入れていきますが、断熱材の素材によっては筋交いとの相性が悪いものがあります。
筋交いと断熱材の相性が悪いと、壁の内部で結露が発生し、筋交いが腐ってしまう可能性があります。
そのため、断熱材を選ぶ際には、安さだけでなく筋交いとの相性も考慮することが重要です。

3: 古い住宅における施工方法の注意点

1981年以前に建てられた木造住宅では、現在の建築基準法に満たない施工方法で建てられている場合があります。
特に、筋交いの固定方法が不十分な場合は、耐震性が低い可能性があります。
古い住宅の場合、耐震診断を受けて、必要に応じて改修工事を行うことをおすすめします。

□まとめ

この記事では、木造住宅の耐震補強における筋交いの種類、役割、注意点などを解説しました。
筋交いは、地震や強風から建物を守る重要な部材です。
家族の安全を守るため、安心して暮らせる住まいを実現するために、耐震補強を検討してみてはいかがでしょうか。

投稿者プロフィール

鈴木 芳邦
「鈴木住研」では、これまでに300棟以上の木造住宅の耐震診断を行ってきました。
経験豊富な東京都登録の耐震診断技術者(建築士)が責任を持って耐震診断を行なっております。
また、創業より60余年木造住宅を造り続けてきた工務店の高い技術力・施工力で、精度の高い、補強工事も行なっております。
アフターメンテナンスを欠かさず、社員や協力会社と共に、お客様のご家族と住まいを長期にわたり見守り続けます。
ぜひ安心して相談ください。

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